●お宝はこうして集めろ
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第1章 メモラビリアの世界へようこそ
●1●思い出に浸ろう!!
唐突ですが、1995年イングランドで開催されたUMBROカップをご記憶の方はいらっしゃるだろうか?サッカーの母国イングランド、前年世界制覇を果たしたブラジル、同大会3位のスウェーデン、そして日本の四カ国が参加して、翌年のEURO96のプレ大会として開催された大会である。
私はこの大会全6試合を現地で観戦したのだが、その中でもブラジル対日本戦がベストマッチとして今でも鮮明に覚えています。試合の展開を簡単に振り返れば、前半開始早々あのロベルト・カルロスの弾丸シュートを皮切りに、その後もジーニョの2ゴールでブラジルが圧勝、この時のセレソンはワールドカップで優勝した勢いをそのままにまさに飛ぶ鳥を落とす勢いでした。
なぜこれほど私の心をがっちりと捕まえたかと言えば、それはセレソンの圧倒的な力であって、世界最高のバロメーターと相対した日本の実力でした。この日は試合前からの雨でピッチに水を含み、いつもよりも1.5倍のパススピードで攻めるセレソンの姿が特にインパクトが強かったのです。それはあまりにも美しく、あの緑のピッチにとても映えていました。その一方で、ボールの処理に苦しみ、パス回しもぎこちなさを感じた日本は「まだまだ世界は遠い」と、そう痛感させられたのです。
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私は何もここでコレクションの自慢をするつもりではありません。無論、これらのアイテムなら、タバコの本数を減らし、夜のお友も控え目にすれば(これが難しいのだけれども・・・)、手に入れることは決して難しくないからです。でも、私にとってこれらはお金では買えることのできない「思い出」一杯の大事な品なのです。
一冊700円程度のプログラムでも「思い出」という名の付加価値のおかげでそれは数倍の価値(勿論、それは私だけの)を生む。こんな愛着のこもった品物を夜な夜なうちの奥さんが寝静まった頃を見計らって、ニタニタしながら観賞することにしているのです。(おまえは変態か!!)その間は本当に嫌なことも忘れられる至福の瞬間でもあり、明日への活力になる最高のビタミン剤にもなるのだから本当に人間って不思議である。これを上回るインパクトのある試合に出会わない限り、この奇行が続くのは言うまでもない。つまりは、これらは私にとって犬や猫などと同じ癒し系なのである。
と、話がここで終わってしまっては面白くはない。(ここで終わってはただキモイだけ)物語は続かなくてはいけない。
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●2●単なるグッズではないメモラビリアとは
翌年の1996年、このUMBROカップブラジル対日本戦を題材にした私の観戦レポートが、あの有名な「ワールドサッカーグラフィック」誌の「第2回WSG大賞」で大賞を受賞したのである。当時サッカージャーナリストを志しこのコンテストに応募された方々、申し訳ないがこの時は相手が悪かった。なんせ、こんなただの一試合で3日くらいは語り明かすことのできるこんな私が相手だったのだから・・・。人の数倍の思い出が詰まっているからこそ考え付いた、誰もが想像できない驚くべき内容なのである。(これは私のような奇人でしか考え付かない。気になる人は同誌96年6月号を読んでみるべし)なんとも単純だが、この受賞をきっかけにあの試合への思い出が再燃し、新たな思い出のアイテム探しの旅が再開されたのは想像するにたやすいことである。
エバートンの本拠地グディソン・パークは、今でこそあのワンダーボーイルーニーと中国人リ・ティエの活躍により凄い人気らしいのだが、再び訪れた1999年当時は「私が執筆したここで行われた観戦レポートが、日本で最も有名なサッカー雑誌に掲載された。」などと告げると(まるで水戸黄門の印籠)、見慣れぬ東洋人を即座にスタジアム内へと案内してくれたのである。思わぬVIP待遇に、この瞬間から「うちの旦那って素敵!!」とうちの嫁の見る目が変わったこと間違いないだろう。何せこの時は楽しい新婚旅行の真っ最中だからである。奥さんもさぞかし楽しい旅行になったに違いない。とここまでは良かった。
でも、女の人って意外とロマンチストでないと言うのは後で痛いほど知らされることとなる。ここ最近、ルーニーの活躍でエバートンとホームスタジアムのグディソン・パークの露出が増えたのだが、その時二人の思い出(のはず)の地を指差し「あそこに行ったよな〜。」と奥さんに尋ねたのだが、返ってきたのは「え、どこだっけ」だって。この予想もできないボケに「ガビーン」(もはや死語)、本気で離婚届出したろかと思ったほどである。この返事以降、我が家でこの話題に触れなくなったのは言うまでもない。やっぱり思い出って共有できないものなのだ、と妙に納得してしまった。
私と同じロマンチスト諸君、間違っても「あなたの夢を一緒に追っかけていたいわ・・・」などという女性の言葉に惑わされないように。(あくまでも私個人の意見、喧嘩になっても責任は負いませんのであしからず)男の人ほどこれまで付き合った女性の写真を捨てられずにいるものです。なぜか思い出に固執し、変なものに収集癖があるのは悲しい男の性と言えるかもしれません。女性にはこの心理は理解できないだろうな〜。
とは言え、私の大事な思い出は、「メモラビリア(memorabilia)」として大切に生き続けています。だからこそメモラビリアは単なるグッズではないのです。メモラビリアは思い出を記憶でそしてモノを記念品として永遠に残しておきたいもの、だからこそ一生大事にできる宝物なのです。ただ、レアなグッズをむさぼるように集めるのではなく、思い出となる品をコレクトすることが本来のメモラビリアコレクターの姿なのです。
●3●最高のメモラビリアとは
数年前、英国最大のオークション「クリスティーズ」で、ペレが1970年ワールドカップ決勝戦で着たユニフォームが、約3,000万円で落札されました。これは勿論フットボールメモラビリアにおける破られることのないレコードです。
これを聞いて「これは将来どれだけの価値が出るべ〜」などと頭の中で妄想が膨らんでいる方もいるかもしれません。獲らぬなんとかではないのですが、そうした投機目的の購入はやめたほうがいいでしょう。ペレのユニフォームはもう二度と絶対に(あえて断言します)3000万円では売れません。なぜ3000万円だったかといえばそれは1970年ワールドカップ決勝戦で着用したという付加価値がついたからです。その他のペレの着用したユニフォームはせいぜい200万円くらいの値しかつきません。(それでも高い!!)3000万円を夢見て、1000万円という投資をあなたはしますか?あまりにも現実味のない話かもしれませんが、それは0が違うだけで、おおよそ同じことなのです。
これはある意味最高のメモラビリアでしょう。金額を抜きにしても、誰もがこういう国宝級のお宝を手にしたいと一度は思うことでしょう。(私だって・・・)でも、このものに思い入れがない人にとっては、これはただのガラクタでしかないのです。サッカーに全く興味がなければ、息子が獲った運動会の一等賞の景品のほうがその人にとっては価値があるものに思えるでしょう。
今まで観戦した半券のチケットを捨てられないのは、そうした思い出を残しておきたいという心理が働くからです。私はそれも立派なメモラビリアだと思っています。「実際にスタジアムで試合を観た」という思い出がそこには詰まっているからです。それははじめて見たサッカーの試合だったかもしれません、彼女との初デートだったかもしれません、(彼女と別れたなどという思い出したくもないこともあるかもしれませんが・・・)ただ、後で手に取れば、それは一枚の半券チケットを通じて思い出が鮮明に蘇ってくるのです。だからこそ、メモラビリアにはアイテムなど関係ないのです。勿論、ユニフォームであったり、好きな選手のサインでもいいでしょう。半券チケットでも、プログラムでも、メモラビリアとなりうるただひとつの条件は思い出が詰まっていることなのです。それこそが、自分にとってはお金には代えることのできない最高の、そして自分だけのメモラビリアになるのです。
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ページ数/31ページ
著者/菅谷智彦(BOOTS-ROOM代表) |
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